パレードでの一部参加者追い出しおよび公開質問状への東京レインボープライドの対応についての声明
2017年8月30日
プラカとか作るフェミとLGBTの会
weretheagitpropsatpride@gmail.com
東京レインボープライドは、2017年5月7日のパレードに途中参加して一緒に歩いていた「プラカとか作るフェミとLGBTの会」有志8人を、「(パレードと)一緒じゃない」として、警察に依頼して強制的にパレードから追い出した。[記録動画:https://youtu.be/Me9VjU5QWZ0]
わたしたち「プラカとか作るフェミとLGBTの会」は、これについて経緯の説明および見解を求める公開質問状を、NPO法人東京レインボープライドおよび東京レインボープライド2017運営委員会宛てに5月17日に送った。[公開質問状:http://weretheagitpropsatpride.blogspot.com/2017/05/open-letter-to-trp.html]
【1】しかし、東京レインボープライド(TRP)は、質問に回答することを拒否した。
その運営に関する疑問・意見について誠実に対応することは、オープンな議論の下により民主的なプライド/パレードを開催するためには欠かせない。
4つの質問のうち、とくに、ボランティアスタッフと「上の人」と警察の関係について、強権排除の経緯を明らかにすることは、TRPに後ろめたさがあったとしても説明責任があり、プライド/パレードが本来の目的・趣旨——性的マイノリティを排除・差別する制度的権力・支配的偏見に抵抗して、周縁化された人々とともに広く人権と自由の保障・擁護を表明する——にかなうものであり続けるために必須のことであった。
【2】さらに残念なことに、TRPはディフェンシブな嘘によって検証を回避しようとした。
TRPは当会からの質問に対し、5月30日に事実を歪曲・捏造したメールを送信してきた。その後、当会は6月7日と7月18日の2度にわたり、その誤り・虚偽について明確に指摘し、訂正と回答を要請したが、TRPから何ら連絡はなく、その訂正すら怠って自らの虚偽・不正を放置した。
これは、公的な性格をもつプライドの主催団体として、あるまじきことである。また、TRPがパレードにおける事実確認や検証を適切に行えない組織となっていること、ボランティアスタッフと救護スタッフと理事等との内部的な意思疎通に問題がある透明性に欠ける状態にあることを窺わせる行為である。
【3】パレード「救護」車両は、脅迫行為を今後一切、やめよ。
救護車両(運転スタッフ)が、パレードを歩く者に対して身体的危害を及ぼす可能性がある50cmの至近距離に自ら幅寄せしてきて走行するという危険行為を行い、10分前後の間そのような状態に置いて物理的・心理的脅迫を行い続けたことは事実ながら断じてあってはならない行為である。
救護部門とTRP(各スタッフ・理事・代表理事)は今回の行為の危険性・暴力性を認識して真摯に検証し、誤魔化すことなく運用指針を刷新して、反省・謝罪と今後の指針を表明すべきである。
【4】パレードのスタッフは一部参加者の存在・言動に何らかの理由で疑問・反感を抱いたとしても、その場で十分に話し合うべきだったのであり、それもなく率先して強権排除を行ったのは暴力的な運営ミスであった。
当会有志は横断幕と個々にプラカードやレインボーフラッグなどを持って途中参加しただけで、パレードを攻撃しようとも参加者に危害を加えようとももちろんしていない。また、警察から警備上の排除警告を受けたわけでもない。現場にいたボランティアスタッフまたは「上の」スタッフから「(こういう理由でパレードの趣旨に反するので)出て行ってくれませんか」と言われることすらなかった。TRPは自らの方針に照らして逸脱が感じられる参加者がいたとしても、恣意的に排除するべく率先して警察に依頼し、「一緒じゃないです」と断言して警察権力の手に委ねるというようなことを決してしてはならなかった。
TRPスタッフ・理事らは他者に対するに、ともすれば支配的制度と同化しかねない主催者としての権力性にも自覚的であるべきであり、パレードの趣旨、他者の自由を尊重することを再確認して率直に反省する必要がある。
[海外での事情の異なる例の一つだが、6月24日のシカゴ・ダイクマーチでは、主催者の反レイシスト/パレスチナ連帯という価値観に反して、シオニストを表すイスラエル国旗を模したレインボーフラッグを掲げて参加しようとした人たちに対し、主催者はなぜシオニズムを受け入れられないかを説明したが理解されなかったので、2時間の会話の後に去るよう要請したというエピソードも参考になるだろう。https://chicagodykemarchcollective.org/2017/06/27/chicago-dyke-march-official-statement-on-2017-march-and-solidarity-with-palestine/]
以上、プライド/パレード開催の意義・成果は、多面的・交差的に評価されるべきものであるが、この声明が主催者および参加者によってオープン・マインドに受け止められ、それぞれの今後に向けての議論に寄与することを願っている。